人影を見たような気がしたは、
それが誰かわかると
たたたっと駆け出した。
「永倉さん!永倉さん!」
自分の声に気づいて
振り返った人物を目指して、
カラコロと下駄を鳴らし近づいていく。
「おー」
名を呼ばれた永倉は、
走ってくるに
よっ、と手をあげた。
「どうしたのヨ?そんなに急いで」
走ってきたため、はーはーと
肩で息をするを
見下ろしながら聞く。
「あっ、あの…私…」
息の整わないは
なかなか言葉にすることが出来ない。
「何か面白いネタでも持ってき…」
「お祭っ…私と一緒に行きませんか!?」
永倉が笑いながら言いかけたのと同時に、
の声が合わさる。
ぎゅっと口を結びながら
真剣に伝えると、
はた、と動きの止まる永倉。
「お前、それ言うためだけに
わざわざ走ってきたのかぁ?」
「え?はい」
きょとん、としながら
真面目に肯定するに
永倉は吹き出した。
「おまっ…はははっ…
そりゃご苦労なこったなー!」
わははと腹を抱えて
笑い出す永倉。
自分は真剣なのに、
それを簡単に笑い飛ばす永倉に、
真っ赤になったが
拗ねたように意見する。
「だって、早く言わないと永倉さん、
原田さんや藤堂さんと一緒に
行っちゃうじゃないですか」
はた、と笑いを止める永倉。
「だから、その前に言わなきゃ、って…」
うつむいて
居心地の悪そうにする。
親友たちの名が出たことに、
へ?と聞き返す永倉だったが、
「んー…そりゃまあ、
アイツらと行くほうが楽しいし?」
反応を見るように
を一瞥する。
すると思ったとおり、
「そ、そんな…」
しゅんと肩を落として
視線を泳がせる。
手を胸のあたりで握りしめて、
元々小柄な身体が
さらに小さく見える。
そんな
感情の素直に現れるに
永倉はふっと笑って、
「まあ、ここまで必死だったみたいだし、
その頑張りに免じて
行ってやってもいいけどー」
わざと大きな声で、
なおかつ独り言のように
言う。
「それとも、チャンはもう
諦めちゃったカナー?」
えっ、と驚いて目を見開く。
頭の後ろで
両手を組みながら、
おどけた口調で言う永倉に、
「諦めてません!」
きっぱりと、叫ぶように
そう言った。
自分一人のために
こんなにも必死になってくれる君を、
「愛しい」と思うだなんて。
(気をつけねぇと、ボロが出るな…)
に気づかれないように
苦笑した永倉は、
クシャリと髪をかきあげた。
Go out together Nagakura