「ふふっ、つかまえたー」
ブキー…、と
小さく降参したような声を出す子ブタを
は抱きしめた。
あれだけ勢いよく走っていた子ブタが、
今はおとなしく
の腕の中にいる。
「また逃げてきちゃったの?
もう…」
すっかり居心地よさそうにする子ブタを
優しく撫でながら、
聞こえてきた声に
ほらね?と話しかける。
「サーン!大丈夫でしたかー?」
軽やかに走ってくるのは沖田。
それに反応して、
の腕の中の子ブタが
モガモガと暴れだす。
「ありがとうございます。
助かっちゃいました」
エヘ、と照れながら
笑う沖田。
逃げるようにの腕の中に
顔を隠す子ブタをつつく。
「この子に限らず、
他の子もみーんな
さんには懐いちゃうんですよねぇ」
あのサイゾーも、と
声を強めて言う。
「でも、みんなが一番好きなのは
沖田さんですよ」
沖田の言葉に
が付け加える。
が子ブタを
ひょいっと突き出すと、
沖田の胸めがけて
勢いよく飛び込む。
「ほら、ね」
得意気に
沖田に笑いかける。
「あはは…そうですねぇ…」
(ちょっと違うような気が…)
そんなことを思いつつ、
つられて微笑んだ沖田に
ブキキと声を上げる子ブタ。
「ああ、そうでした。
ご飯をあげるんでしたね」
怒らないでくださいよー、
などと言いながら、
つんつんと子ブタの顔をつついては
苦笑する。
そんな光景にクスクスと笑ったは、
「じゃあ、私もこれで失礼しますね」
と、ペコリとお辞儀をする。
「あ、はーーい!
どうも、ありがとうございました」
子ブタを顔の前に持ってきて、
そのまま頭を下げるしぐさをした沖田に
は笑って手を振る。
「さて、と…」
沖田と話したは
ニコニコしながら廊下を歩いていく。
何気なく外の方を見ると、門のそばを
誰かが歩いていくように見えた。
「あれ?もしかして…」
まさか、と思いながら、
は外へと出る。
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